インプラント 2024年11月22日

インプラント後のMRI検査はできる?安全性と注意点を徹底解説

「インプラント治療をすると、MRI検査が受けられなくなるって本当ですか?」

歯科医院でよく聞かれるこんな質問。実は、これは大きな誤解なんです。

インプラント治療は、失った歯の機能を取り戻すための優れた治療法として、多くの方に選ばれています。その一方で、「将来MRI検査が受けられなくなるのでは?」という不安から、治療を躊躇される方もいらっしゃいます。

確かにMRI検査では強力な磁石を使うため、体内に金属があると検査ができない場合があります。でも、実は一般的なインプラントは特殊な金属でできているため、ほとんどの場合でMRI検査を受けることができるんです。

この記事では、インプラントを入れている方がMRI検査を受ける際の疑問や不安について、詳しく解説していきます。インプラント治療を検討されている方も、すでに治療を受けられた方も、ぜひ参考にしてください。

MRI検査ができないと言われる主な理由

「インプラント治療をするとMRI検査が受けられなくなる」という話を耳にしたことはありませんか?

実際、医療機関でインプラントが入っているとMRI検査を断られたという経験をお持ちの方もいるかもしれません。

なぜそのような誤解が生まれるのか、本当に検査を受けられないのか、また検査を受ける際にどんな注意が必要なのか、詳しく見ていきましょう。

インプラントとMRIの関係性

MRI検査は強力な磁石と電波を使って体内の様子を撮影する検査方法です。

この検査では、磁力に反応する金属が体内にあると危険な場合があります。しかし、歯科で使用されるインプラントの多くはチタンやチタン合金でできています。

チタンは磁力にほとんど反応しない特殊な金属で、MRI検査の磁場の影響をほとんど受けません。

そのため、一般的な歯科インプラントであれば、安心してMRI検査を受けることができます。

ただし、磁石を使用するタイプのインプラントや、心臓ペースメーカーなどの医療用インプラントは、MRI検査に影響を与える可能性があるため、事前の確認が必要となります。

安全性に関するガイドライン

医療機関では、MRI検査の安全性を確保するための明確なガイドラインが設けられています。

特に歯科インプラントに関しては、チタン製のものであれば安全性が確認されており、多くの医療機関で問題なく検査を受けることができます。

ただし、オーバーデンチャーなど、磁石を使用するタイプのインプラントの場合は、検査前に必ず歯科医師に相談する必要があります。

また、インプラント治療を受けた際は、使用された材料の情報を確認しておくことをお勧めします。将来MRI検査を受ける際に、スムーズな受診につながるからです。医療機関によっては独自の安全基準を設けている場合もあるため、検査前には必ず使用しているインプラントの情報を医師に伝えましょう。

事故やトラブルの可能性

インプラント治療後のMRI検査で起こりうるトラブルには、主に2つのパターンがあります。

1つ目は金属の発熱で、磁力に反応する金属が使われている場合に起こる可能性があります。ただし、一般的なチタン製インプラントではこの心配はありません。

2つ目はMRI画像への影響です。金属が存在することで画像にノイズや影が映り込む場合がありますが、これは診断に重大な支障をきたすものではありません。むしろ、インプラントの存在を知らせずに検査を受けることの方が危険です。

万が一、磁石を使用したインプラントを装着したまま検査を受けると、脱落や破損の危険性があります。そのため、必ず事前に歯科医師に相談し、安全性を確認することが重要です。

インプラントの種類別MRI検査の影響

インプラントには歯科治療で使用されるものから、心臓のペースメーカーまで、実はさまざまな種類があります。

これらはMRI検査に対して、それぞれ異なる影響を持っています。どのタイプのインプラントがMRI検査を受ける際に注意が必要なのか、種類別に詳しく見ていきましょう。

歯科インプラントの場合

一般的な歯科インプラントは、チタンやチタン合金でできているため、MRI検査を安全に受けることができます。

チタンには磁力がほとんどないため、MRI検査で使用する強力な磁場の影響を受けにくい特徴があります。インプラント治療では、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着します。

この人工歯根部分がチタン製で、上部の人工歯はセラミックなどの材料でできています。セラミックも磁力の影響を受けないため、MRI検査を受ける際の心配はありません。

ただし、画像上に影が映り込むことはありますが、これは診断に支障をきたすものではありません。

オーバーデンチャーの場合

オーバーデンチャーは、インプラントや残っている歯を土台にして装着する特殊な入れ歯のことです。

この種類のインプラント治療では、入れ歯を固定する方法として磁石を使用するタイプと、クリップなどの金属部品を使用するタイプがあります。

磁石を使用するタイプの場合、MRI検査の強力な磁場により、磁石が反応して外れてしまったり、発熱したりする危険性があります。そのため、磁石タイプのオーバーデンチャーを使用している方は、MRI検査を受ける前に必ず歯科医師に相談し、取り外しが必要かどうかを確認する必要があります。

一方、磁石を使用しないタイプであれば、通常のインプラントと同様に安全に検査を受けることができます。

医療用インプラントの場合

医療用インプラントとは、心臓ペースメーカーや人工内耳、人工関節などの医療機器を指します。

これらは歯科インプラントとは異なり、MRI検査に対して特別な注意が必要です。

特に心臓ペースメーカーは、MRI検査の磁場によって誤作動を起こす可能性があるため、従来は検査を受けることができませんでした。

ただし、最近では「MRI対応ペースメーカー」も開発されており、条件付きでMRI検査を受けられるようになっています。人工関節などの場合も、使用されている素材によって検査の可否が変わってきます。

医療用インプラントを使用している方は、必ず主治医に相談し、MRI検査が可能かどうかを確認してください。

MRI検査を安全に受けるための注意点

インプラント治療を受けた方が安全にMRI検査を受けるためには、いくつかの重要な注意点があります。

事前の準備から検査当日の対応まで、どのような点に気をつければよいのか、順を追って説明していきましょう。

事前確認すべき項目

MRI検査を受ける前には、使用しているインプラントの情報を正確に把握しておく必要があります。

まずは、治療を受けた歯科医院に連絡を取り、インプラントの製品名や素材を確認しましょう。

特に重要なのは、チタン製なのか、磁石を使用しているタイプなのかという点です。

また、治療時期や埋入部位についても確認しておくと良いでしょう。できれば診療情報提供書を発行してもらうことをお勧めします。これらの情報は、MRI検査を行う医療機関での安全確認に役立ちます。

最近では、インプラントの情報を記載したカードを発行している歯科医院もありますので、そういったものがあれば大切に保管しておきましょう。

医師への伝え方

MRI検査を受ける際は、インプラント治療を受けていることを必ず医師に伝えてください。

その際、単に「インプラントがあります」と言うだけでなく、できるだけ詳しい情報を伝えることが大切です。例えば「○年前に歯科インプラント治療を受けました。チタン製のインプラントで、磁石は使用していません」というように具体的に説明すると、医師も適切に判断することができます。

もし診療情報提供書やインプラントカードがあれば、それを見せるのが最も確実です。

医師から追加の質問があった場合は、わからないことは素直にわからないと伝え、必要に応じて歯科医院に確認を取ることをお勧めします。

検査当日の注意事項

検査当日は、医師や放射線技師の指示に従って準備を進めましょう。

オーバーデンチャーなど取り外しが可能なタイプの場合は、検査前に外すように指示されることがあります。また、他の金属製品(アクセサリーやヘアピンなど)も必ず外す必要があります。

検査中に違和感や痛みを感じた場合は、すぐに知らせることができるよう、検査前に合図の方法を確認しておきましょう。また、検査後も体調の変化がないかどうかをしっかりと確認します。

何か気になることがあれば、遠慮せずに医師に相談してください。

インプラントとCT検査の違い

MRI検査に不安を感じる方から、「CT検査なら大丈夫でしょうか?」という質問をよく受けます。

実は、CTとMRIでは使用する技術が全く異なるため、インプラントへの影響も大きく違います。どのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。

CT検査への影響

CT検査は、X線を使って体内を撮影する検査方法です。MRI検査とは異なり、磁場を使用しないため、インプラント治療を受けた方でも安全に受けることができます。

実際、インプラント治療を行う際にも、治療前後でCT撮影を行うことが一般的です。これは、顎の骨の状態やインプラントの埋入位置を確認するために必要な検査だからです。

ただし、金属製のインプラントがある部分は、CT画像上で白く映り、その周囲がやや不鮮明になることがあります。これは「金属アーチファクト」と呼ばれる現象ですが、多くの場合、診断に重大な支障をきたすことはありません。

むしろ、インプラントの位置を確認する目印として活用されることもあります。

MRIとCTの選択基準

MRIとCT検査は、それぞれ得意とする撮影部位や目的が異なります。

CTは骨や肺などの硬い組織の撮影に適しており、短時間で撮影できる利点があります。一方、MRIは脳や内臓、筋肉など、軟らかい組織の撮影に優れています。

また、CTは放射線を使用するため被ばくの影響がありますが、MRIにはその心配がありません。そのため、検査の目的や撮影したい部位によって、どちらの検査を選択するかが決められます。

インプラント治療を受けている方の場合、検査の必要性と安全性を考慮して、担当医が適切な検査方法を提案します。最近では、画像処理技術の進歩により、両方の検査でより鮮明な画像が得られるようになってきています。

インプラントのMRIに関するよくある質問

インプラント治療とMRI検査に関して、患者さんからよく寄せられる疑問についてお答えします。

不安に感じる点は人それぞれ異なりますが、正しい知識を持つことで、より安心して検査を受けることができます。

インプラント直後にMRI検査は受けられる?

インプラント治療直後のMRI検査については、慎重な判断が必要です。

手術後は顎の骨とインプラントが完全に固着していない状態のため、医師との相談が重要になります。通常、インプラント埋入から約3〜6ヶ月程度は骨との結合期間(オッセオインテグレーション)として設けられています。この期間中にMRI検査が必要になった場合は、治療を担当した歯科医師と検査を担当する医師の両方に相談してください。

緊急性の高い検査が必要な場合は、状況に応じて検査を行うこともありますが、可能であれば骨との結合が十分に進んでから検査を受けることをお勧めします。

また、上部構造(人工の歯)が装着される前であれば、むしろMRI検査への影響は少ないかもしれません。

MRI検査を断られた場合の対処法

インプラントが入っているという理由でMRI検査を断られた場合、いくつかの対処方法があります。

まず、使用しているインプラントがチタン製であることを説明してください。チタンは磁力の影響をほとんど受けないため、多くの場合、検査を受けることができます。

また、インプラントの情報を記載した診療情報提供書や治療証明書があれば、それを提示することで理解を得られやすくなります。

それでも難しい場合は、治療を担当した歯科医師に相談し、医療機関同士で安全性の確認を行ってもらうことも有効です。最近では、MRI対応のインプラントが一般的になってきていますが、医療機関によって対応が異なる場合もあるため、必要に応じて他の医療機関での受診を検討することもできます。

インプラントの素材確認方法

インプラントの素材を確認する最も確実な方法は、治療を受けた歯科医院に問い合わせることです。

多くの歯科医院では、使用したインプラントの製品名や材質などの情報を診療記録として保管しています。治療時に発行されたインプラントカードや診療証明書がある場合は、そちらでも確認することができます。

もし治療から時間が経っていたり、治療を受けた歯科医院が不明な場合は、現在通院している歯科医院でレントゲン撮影やCT撮影を行うことで、使用されているインプラントの種類を特定できる可能性があります。

最近のインプラントには製品固有のマークや形状があり、それを基に素材を判断することができます。

適切な確認でMRI検査は安全に受診できる

インプラント治療を受けていても、その多くはMRI検査を安全に受けることができます。

特に一般的な歯科インプラントは、磁力の影響をほとんど受けないチタン製であるため、心配する必要はありません。ただし、オーバーデンチャーなど磁石を使用するタイプの場合は注意が必要です。

MRI検査を受ける際は、必ず事前に使用しているインプラントの情報を確認し、医師に伝えることが大切です。

また、不安な点があれば、遠慮せずに歯科医師や担当医に相談しましょう。正しい知識と適切な準備があれば、インプラント治療後でも安心して検査を受けることができます。