【完全解説】歯の名前一覧と読み方 - 子供の乳歯から大人の永久歯まで

歯の名前と呼び方を理解することは、歯科診療での説明を理解するだけでなく、日常の口腔ケアをより効果的に行うためにも重要です。この記事では、乳歯と永久歯の違いから各歯の専門的な名称、正しい読み方まで、歯に関する基本知識を詳しく紹介します。
永久歯と乳歯の歯の名前一覧と違い
歯の名前について知っていますか?実は私たちの口の中にある歯には、それぞれ固有の名前があります。歯の名前を知ることで、歯医者さんでの説明が理解しやすくなったり、日常の歯磨きもより効果的になったりします。大人の歯(永久歯)と子どもの歯(乳歯)では、本数や名前が異なるんですよ。今回は歯の名前について分かりやすく解説します。
永久歯の名前と本数 - 大人の歯の呼び方と番号
永久歯は、いわゆる「大人の歯」と呼ばれるもので、乳歯が抜けた後に生えてくる歯です。永久歯は親知らずを含めると全部で32本あります(親知らずを除くと28本)。永久歯は前から順に数字で「1番、2番、3番...」と呼ばれることが多く、歯科医院では主にこの数字を使って診療が行われます。
永久歯は大きく「前歯」「小臼歯」「大臼歯」の3種類に分けられます。前歯は中切歯、側切歯、犬歯の3種類で計12本、小臼歯は第一小臼歯と第二小臼歯の2種類で計8本、大臼歯は第一大臼歯、第二大臼歯、第三大臼歯(親知らず)の3種類で計12本あります。それぞれの歯には特有の形状があり、食べ物を噛むときに異なる役割を果たしています。
前歯の名前と役割(中切歯・側切歯)
前歯は、顔の正面から見たときに見える歯のことで、笑顔の印象を大きく左右する部分です。前歯の中でも、真ん中にある歯を「中切歯(ちゅうせっし)」、その隣を「側切歯(そくせっし)」と呼びます。中切歯は歯科医院では「1番」、側切歯は「2番」と呼ばれることが多いです。
中切歯と側切歯の主な役割は、食べ物を噛み切ることです。特に固いものやりんごなどの果物を食べるときに、まず前歯で噛み切ります。また、発音においても重要な役割を担っていて、特に「サ行」や「タ行」の発音には前歯が欠かせません。さらに、前歯は私たちの表情や印象に大きく影響します。前歯が綺麗に並んでいると、笑顔も素敵に見えますね。
犬歯(糸切歯)の特徴と役割
犬歯は前歯と奥歯の間に位置する、少しとがった形をした歯です。歯科医院では「3番」と呼ばれることが多いですが、「糸切り歯」という呼び名もあります。上下左右に1本ずつ、計4本あります。名前の由来は、昔、裁縫の際に糸を切るのに使われていたからだと言われています。
犬歯の特徴は、他の歯に比べて根が長く、顎の骨の中でも最も強固な歯であることです。主な役割は、食べ物を引き裂くことで、特に肉などのタンパク質を含む食品を食べるときに活躍します。また、犬歯は前歯や奥歯に負担がかかりすぎるのを防ぐクッションの役割も果たしています。時々「八重歯」と呼ばれる歯並びがありますが、これは犬歯が正常な位置から外れて、少し前に出ている状態を指します。
小臼歯と大臼歯の違いと名前
奥歯は「臼歯(きゅうし)」と呼ばれ、小臼歯と大臼歯に分けられます。小臼歯は犬歯の隣に位置し、第一小臼歯(4番)と第二小臼歯(5番)の2種類、上下左右に2本ずつで計8本あります。大臼歯は小臼歯の後ろに位置し、第一大臼歯(6番)、第二大臼歯(7番)、第三大臼歯(8番:親知らず)の3種類があります。
小臼歯と大臼歯の主な違いは大きさと形状です。小臼歯は小さめで、表面に2つほどの突起(咬頭)があるのに対し、大臼歯はより大きく、4〜5つの突起があります。役割としては、どちらも食べ物をすりつぶす機能がありますが、大臼歯はより強い力で食べ物を噛み砕くことができます。特に第一大臼歯(6番)は「6歳臼歯」とも呼ばれ、6歳頃に最初に生えてくる永久歯で、噛み合わせの中心となる重要な歯です。
親知らず(第三大臼歯)の特徴
親知らずは正式名称を「第三大臼歯」といい、一番奥に生える8番目の歯です。「親知らず」という名前の由来は、この歯が生えてくる時期が18〜25歳頃と遅く、親の知らないうちに生えてくることからきています。歯科医院では「8番」と呼ばれることが多いです。
親知らずの特徴は、人によって本数が異なることです。全く生えない人もいれば、上下左右に1本ずつ計4本すべて生える人もいます。また、現代人はあごが小さくなっている傾向があるため、親知らずが生えるスペースが足りず、斜めに生えたり、歯肉に埋まったままになったりすることがあります。こうした状態を「埋伏歯(まいふくし)」といい、痛みや腫れの原因になることもあるため、抜歯が必要になることも少なくありません。親知らずは歯磨きがしにくい位置にあるため、虫歯や歯周病のリスクも高いです。
乳歯の名前と特徴 - 子供の歯の呼び方と本数
乳歯は、子どもの歯のことで、生後6〜8ヶ月頃から生え始め、2〜3歳頃までに全部で20本が生えそろいます。乳歯は「A」から「E」までのアルファベットで表されることが多く、歯科医院ではこの記号を使って診療が行われます。永久歯と違って数字ではなくアルファベットなので、混同しないようにしましょう。
乳歯も永久歯と同様に、乳切歯、乳犬歯、乳臼歯という種類があります。乳切歯は乳中切歯(A)と乳側切歯(B)の2種類、乳犬歯(C)は1種類、乳臼歯は第一乳臼歯(D)と第二乳臼歯(E)の2種類です。乳歯は永久歯に比べて全体的に小さく、エナメル質や象牙質の厚みも薄いのが特徴です。また、形状も永久歯が角ばっているのに対して、乳歯は丸みを帯びています。
乳歯の種類と生え変わりの時期
乳歯の生える順番は一般的に、まず下の前歯(乳中切歯)が生え、次に上の前歯が生え、その後は前から奥に向かって順番に生えていきます。ただし、個人差も大きく、生える時期や順番には3〜4ヶ月程度のずれがあっても正常範囲内です。
乳歯から永久歯への生え変わりは、6〜7歳頃から始まります。最初に生え変わるのは通常、下の前歯からです。その後、上の前歯、側切歯、そして犬歯や小臼歯と順に生え変わっていきます。ただし、第一大臼歯(6番)は乳歯がない位置に新たに生えてくる歯なので、他の永久歯と違って生え変わりではなく、新たに生えてくる歯です。
乳歯が抜けた後すぐに永久歯が生えてくるわけではなく、歯が抜けてから永久歯が生えてくるまでには数週間から数ヶ月かかることもあります。歯の生え変わりの時期(混合歯列期)は個人差が大きく、6歳から12〜13歳頃までの約6年間続きます。この時期は乳歯と永久歯が混在しているため、歯磨きがしにくく、虫歯になりやすい時期でもあります。
乳歯と永久歯の名前の対応関係
乳歯と永久歯の名前には、対応関係があります。乳中切歯(A)は永久中切歯(1番)に、乳側切歯(B)は永久側切歯(2番)に、乳犬歯(C)は永久犬歯(3番)に、第一乳臼歯(D)は第一小臼歯(4番)に、第二乳臼歯(E)は第二小臼歯(5番)にそれぞれ生え変わります。
永久歯のうち、第一大臼歯(6番)、第二大臼歯(7番)、第三大臼歯(8番:親知らず)には対応する乳歯がありません。これらは乳歯のない位置に新たに生えてくる歯です。特に第一大臼歯(6番)は6歳頃に最初に生えてくることが多いため「6歳臼歯」とも呼ばれ、噛み合わせの中心となる重要な歯です。
乳歯も「いずれ抜ける歯だから」と放置せず、しっかりケアすることが大切です。乳歯の健康状態は、後から生えてくる永久歯の発育にも影響します。また、乳歯は永久歯のためのスペースを確保する役割も担っています。乳歯が早く抜けてしまうと、他の歯が移動してスペースがなくなり、永久歯が正しい位置に生えてこなくなることもあります。
歯の名前の正しい読み方と覚え方
歯の名前を知ると、歯医者さんでの会話が理解しやすくなりますし、自分の口内環境についても詳しく知ることができます。歯の名前は難しい漢字が使われていることもありますが、基本的な部分を押さえれば、簡単に覚えられます。ここでは歯の名前の正しい読み方と覚え方のポイントをご紹介します。
歯の専門用語の読み方と意味
歯の専門用語には、一般的にはあまり使われない言葉がたくさんあります。例えば「切歯(せっし)」「臼歯(きゅうし)」「犬歯(けんし)」などです。これらの言葉の読み方を知っていると、歯科医院で専門用語が出てきたときにも理解しやすくなります。
「切歯」という名前の由来は、食べ物を切り裂く役割から来ています。「臼歯」は、穀物をすりつぶす道具である「臼(うす)」に似た形と機能を持つことから名付けられました。「犬歯」はとがった形が犬の牙に似ていることが名前の由来です。また「親知らず」は、生えてくる時期が遅く、親の知らないうちに生えてくることからそう呼ばれるようになりました。
歯の名前には、位置や役割が反映されていることが多いので、それを意識すると覚えやすくなります。例えば「中切歯」は真ん中(中央)にある切歯、「側切歯」はその側(横)にある切歯という意味です。また「第一小臼歯」「第二小臼歯」は前から順番に数えたときの位置を示しています。
歯の名称を英語と日本語で対比
歯の名称は日本語だけでなく、英語でも知っておくと国際的な場面でも役立ちます。日本語の「切歯」は英語では「incisor(インサイザー)」、「犬歯」は「canine(キャナイン)」、「小臼歯」は「premolar(プレモラー)」、「大臼歯」は「molar(モラー)」と呼ばれます。
特に「親知らず」の英語名は「wisdom tooth(ウィズダムトゥース)」で、「知恵の歯」という意味です。これは成熟した年齢(知恵がついた頃)に生えてくることが名前の由来になっています。日本語の「親知らず」とは少し意味合いが異なりますが、どちらも生えてくる時期の遅さに注目した名前です。
英語と日本語の対応を覚えておくと、海外の歯科情報を調べるときや、英語で歯科治療を受ける機会があったときに役立ちます。また、歯の名称を覚える際の記憶の助けにもなります。
歯の位置による呼び方の違い
歯の位置による呼び方にも特徴があります。歯科医院では、歯の位置を「右上」「左上」「右下」「左下」と区分け、さらに番号やアルファベットを組み合わせて表現します。例えば「右上6番」は右上の第一大臼歯、「左下C」は左下の乳犬歯を意味します。
また、歯の向きや面を表す言葉もあります。例えば「唇側(しんそく)」は唇に面した歯の外側、「舌側(ぜっそく)」は舌に面した歯の内側を指します。奥歯では「頬側(きょうそく)」という言葉も使われ、頬に面した外側を意味します。また「近心(きんしん)」は歯列の中心に近い側、「遠心(えんしん)」は中心から遠い側を表します。
これらの位置に関する専門用語を知っておくと、歯医者さんでの説明がより理解しやすくなります。例えば「右上6番の頬側に虫歯があります」と言われたら、右上の奥から3番目の歯の頬に面した側に虫歯があるということがわかります。
歯の部位と表面の名称について
歯には「名前」だけでなく、各部位や表面にも専門的な名称があります。これらの名称を知ることで、歯の構造をより深く理解し、適切な歯のケアや歯科治療に役立てることができます。ここでは、歯の各部位や表面の名称について詳しく解説します。
歯の各部位の名前と構造
歯は大きく分けて「歯冠(しかん)」と「歯根(しこん)」の2つの部分から構成されています。歯冠は歯ぐきから出ている見える部分で、歯根は歯ぐきの中に埋まっている部分です。歯根は歯根膜(しこんまく)を介して顎の骨(歯槽骨)に固定されています。
歯の内部は、一番外側から「エナメル質」「象牙質(ぞうげしつ)」「歯髄(しずい)」という3つの層でできています。エナメル質は人体で最も硬い組織で、歯冠部分を覆っています。象牙質はエナメル質の内側にあり、歯の大部分を占める組織です。歯髄は歯の中心部にあり、神経や血管を含むため、いわゆる「歯の神経」と呼ばれる部分です。
歯根の表面は「セメント質」という組織で覆われています。セメント質は歯と歯根膜をつなぐ役割を持ち、歯が顎の骨にしっかりと固定されるのを助けています。これらの構造が複雑に組み合わさることで、私たちの歯は強い噛む力や外部からの刺激に耐えることができます。
歯の表面の名称と覚え方
歯の表面には、それぞれ特有の名称があり、歯科治療や歯のケアの際に重要な目印となります。前歯の場合、唇に面した外側の面を「唇側面」、奥歯では「頬側面」と呼びます。歯の内側、つまり舌に面した面は「舌側面」(上あごの奥歯の内側は「口蓋側面」)と呼ばれます。
歯の噛む部分は、前歯では「切縁」、奥歯では「咬合面」と呼ばれます。特に奥歯の咬合面には、食べ物をすりつぶすための突起(咬頭)がいくつもあり、その間に溝(小窩裂溝)が走っています。この溝は虫歯になりやすい部位の一つです。
また、歯と歯ぐきの境目付近は「歯頸部」と呼ばれ、この部分は歯垢がたまりやすく、歯周病や知覚過敏の原因になることがあります。歯の根の部分は「歯根」と呼ばれ、通常は歯ぐきや骨に覆われていて見えません。
歯の名称を覚えるコツは、実際の歯を鏡で見ながら各部位を確認することです。また、歯科医院にある歯の模型を使って説明してもらうと、より理解が深まります。これらの名称を知っておくと、歯科医師や歯科衛生士からの説明がより理解しやすくなり、自分の口腔内の状態を正確に把握できるようになります。
歯の記号と表記方法
歯科医療の現場では、歯の状態を記録するための記号や表記方法が使われています。例えば、虫歯の進行度を表す「C1」「C2」「C3」「C4」という記号は、それぞれ虫歯の進行段階を示しています。C1はエナメル質までの虫歯、C2は象牙質までの虫歯、C3は歯髄まで達した虫歯、C4は歯冠部がほとんど崩壊した状態を表します。
歯周病の進行度を表す「P1」「P2」「P3」といった記号や、治療の内容を表す「Cr(クラウン)」「In(インレー)」「BR(ブリッジ)」などの略称も使われます。また、コンポジットレジン(歯の色に合わせた樹脂製の詰め物)は「CR」などと表記されます。
さらに、歯の配置を図示する「歯式(ししき)」という表記方法もあります。歯式には様々な方式がありますが、日本では「FDI方式」が一般的に使われています。この方式では、口の中を上下左右の4つの象限に分け、それぞれの歯に番号を振ります。例えば、右上の中切歯は「11」、左下の第一大臼歯は「36」というように表記します。
これらの記号や表記方法を知っておくと、自分の歯科カルテの内容や、歯科医師からの説明をより理解しやすくなります。歯科治療の計画や進行状況を把握するためにも、基本的な歯科記号の知識は役立ちます。
よくある質問Q&A
歯の名前や構造について、多くの方が疑問に思うことをQ&A形式でまとめました。歯についての理解を深めるために、ぜひ参考にしてください。
抜けたらダメな歯はありますか?
基本的にすべての歯が重要ですが、特に第一大臼歯(6番)は噛み合わせの要となる歯で、失うと噛む力が大幅に低下します。親知らずは状況によっては抜歯が推奨されることもありますが、他の歯はできるだけ残すことが望ましいです。
八重歯は正式な歯の名前ですか?
いいえ、八重歯は歯の正式名称ではありません。これは犬歯が通常の位置より前に出ている状態を表す一般的な呼び名です。この歯自体の正式名称は「犬歯」または「糸切り歯」です。歯科医院では「3番」と呼ばれることが多いです。八重歯は見た目の特徴として親しまれる一方、歯磨きがしにくく虫歯リスクが高まる場合もあります。
上の歯と下の歯で名前は違うのですか?
基本的に上下の歯の名前は同じです(中切歯、側切歯、犬歯など)。ただし、形状や大きさ、歯根の数などは上下で異なります。歯科医院では「右上1番」「左下4番」というように位置を示す言葉を組み合わせて使うことで区別します。
まとめ:歯の名前を知って正しく歯を大切にしよう
歯の名前や構造について学ぶことは、自分の口内環境を理解し、適切なケアを行うための第一歩です。永久歯は全部で32本(親知らずを含む)あり、前歯、犬歯、小臼歯、大臼歯に分けられます。乳歯は全部で20本あり、永久歯に比べて小さく、エナメル質や象牙質の厚みも薄いのが特徴です。
歯の名前を知ることで、歯医者さんでの説明がより理解しやすくなり、日頃の歯磨きも効果的に行えるようになります。例えば、奥歯の咬合面(噛み合わせの面)は複雑な形状をしているため、丁寧に磨く必要があること、前歯の裏側は磨き残しが多いことなど、部位ごとの特徴を意識することで、より良い口腔ケアが可能になります。
歯は一度失うと二度と元には戻りません。一生自分の歯で美味しく食事を楽しみ、健康な生活を送るためにも、歯の名前や役割を理解して、大切にケアしていきましょう。定期的な歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、適切な処置を受けることも重要です。皆さんの歯が健康でありますように。