歯がしみる原因と対処法 - 知覚過敏だけじゃない!すぐに試せる治し方
アイスを食べたとき、冷たい飲み物を飲んだとき、または冬の冷たい空気を吸い込んだときに歯に走る痛み。「キーン」という一瞬のしみる感覚が日常生活の楽しみを奪っていませんか?
この症状の裏には、単なる知覚過敏だけでなく、歯ぎしり、食いしばり、不適切な歯磨き習慣、さらには虫歯の可能性まで、様々な原因が隠れています。症状を放置すると悪化することもあるため、適切な対処が欠かせません。
この記事では歯がしみる様々な原因と、すぐに試せる対処法から歯科医院での治療まで幅広くご紹介します。あなたの歯の健康を守るための正しい知識を身につけ、つらい症状から解放されましょう。
歯がしみる原因 - 知覚過敏と虫歯の違い
歯がしみる症状に悩んでいませんか?冷たい飲み物を飲んだ瞬間や、歯磨きのときに「キーン」という痛みを感じることがあるのは、知覚過敏かもしれません。知覚過敏は日本人の3人に1人が経験したことがあるほど身近な歯のトラブルです。歯がしみる原因はいくつかありますが、虫歯と勘違いされることも多いです。歯がしみる原因や対処法について詳しく説明していきます。
知覚過敏で歯がしみるメカニズム
健康な歯の表面は、エナメル質という硬い組織で覆われています。エナメル質は人の身体の中で最も硬い部分で、神経は通っていないため、通常は痛みを感じることはありません。でも、このエナメル質の下には象牙質(ぞうげしつ)という組織があり、ここには無数の小さな管(象牙細管)が通っています。この象牙細管は歯の内側にある神経につながっています。
通常は象牙質がエナメル質に覆われているため、外からの刺激は神経に伝わりませんが、何らかの理由でエナメル質が削れたり、歯ぐきが下がったりして象牙質が露出すると、冷たいものや熱いものの刺激が象牙細管を通じて神経に伝わり、「しみる」という痛みを感じるようになります。この状態が知覚過敏です。
象牙細管内の組織液が温度変化などで動くことで、神経に刺激が伝わるメカニズムになっています。象牙細管は非常に細く、肉眼では見えないほどの小さな管ですが、その数は1平方ミリメートルあたり数万本にもなるといわれています。これだけ多くの細管があるため、少しの刺激でも敏感に反応してしまうのが知覚過敏の特徴といえるでしょう。
歯がしみるのは虫歯が原因?虫歯じゃない場合もある
「歯がしみる」と感じたとき、多くの人は「虫歯かも?」と心配になりますよね。確かに虫歯でも歯がしみることがありますが、実は虫歯ではなく知覚過敏が原因のことも多いです。では、どうやって見分ければいいのでしょうか?
虫歯による痛みは基本的に慢性的で、徐々に強くなっていくことが特徴です。時間が経つにつれて症状が悪化し、何もしていなくてもズキズキと痛むようになります。一方、知覚過敏による痛みは一時的なもので、冷たいものを飲んだときなど特定の刺激があったときだけ痛みを感じ、その後すぐに(10秒以内くらい)治まるのが特徴です。
また見た目の違いもあります。虫歯の場合は歯に小さな穴が開いていたり、黒や茶色に変色していたりします。知覚過敏の場合は見た目ではわかりにくいこともありますが、歯ぐきが下がって歯の根元が見えているケースや、黄色い象牙質が露出しているケースがあります。もしどちらかわからない場合は、歯科医院での診察を受けることをおすすめします。
突然歯がしみる理由とは
ある日突然、歯がしみるようになったという経験はありませんか?突然歯がしみる理由には、いくつかの可能性があります。まず考えられるのは、歯ぎしりや食いしばりの習慣です。これらは無意識のうちに行っていることが多く、ストレスや疲労が原因になっていることもあります。特に夜間の歯ぎしりは自分では気づきにくいので注意が必要です。
また、歯磨きの仕方にも原因があるかもしれません。力を入れすぎて歯を磨いていると、歯と歯ぐきの境目にある歯の表面が削れていき、知覚過敏を引き起こすことがあります。特に硬めの歯ブラシや研磨剤が多く含まれた歯磨き粉を使用している場合は要注意です。
酸性の強い食べ物や飲み物を頻繁に摂取している場合も、エナメル質が溶けやすくなります。特に炭酸飲料やスポーツドリンク、柑橘類などを長時間かけて少しずつ飲食していると、口の中が酸性になり続けてエナメル質が溶けてしまいます。これを「酸蝕症」と言います。
突然の歯の痛みは心配ですが、原因を把握して適切に対処すれば改善する可能性が高いでしょう。
歯がしみる時の治し方 - 自宅でできる対処法
歯がしみる症状は日常生活で不快なものですが、症状の程度によっては自宅でケアすることも可能です。ここでは、歯がしみる時に自分でできる応急処置や対処法について紹介します。ただし、症状が重い場合や長期間続く場合は歯科医院での診察を受けることが大切です。まずは自宅でできる基本的なケア方法から見ていきましょう。
歯がしみる時の応急処置
歯がしみる症状が突然現れた場合、すぐに試せる応急処置があります。まず、冷たい水や熱い飲食物など、しみる原因となるものを避けることが基本です。常温の飲み物を選び、極端な温度の食べ物は一時的に控えましょう。
歯磨きのときにしみる場合は、ぬるま湯で口をすすぐと刺激が少なくなります。冷たい水でのうがいや歯磨きは避け、水を少し温めてから使用すると良いでしょう。また、歯ブラシは柔らかいものを選び、優しく磨くことも大切です。
口の中を清潔に保つことも重要なポイントです。歯と歯の間の食べかすは、デンタルフロスや歯間ブラシで丁寧に取り除きましょう。ただし、痛みを感じる部分は無理に刺激しないよう注意が必要です。
一時的な痛みの緩和には、市販の知覚過敏用の歯磨き粉を使用するのも効果的です。知覚過敏用の歯磨き粉には、象牙細管をふさいだり神経の興奮を抑えたりする成分が含まれています。ただし、効果が現れるまでに1~2週間ほどかかる場合もあるため、継続して使用することが大切です。
知覚過敏用の歯磨き粉の選び方と効果
知覚過敏の症状がある場合、専用の歯磨き粉を使うと効果的です。知覚過敏用の歯磨き粉には主に2つのタイプがあります。一つは硝酸カリウムという成分を含むもので、これは歯の神経の興奮を抑える効果があります。歯の神経細胞の周りにカリウムイオンを増やすことで、痛みの信号が送られにくくなるのです。
もう一つは、フッ化物やストロンチウムなどの成分を含むタイプで、これらは象牙細管をふさぐ働きがあります。エナメル質の再石灰化を促進し、露出した象牙質の表面を修復する効果も期待できます。
知覚過敏用の歯磨き粉を選ぶときは、研磨剤が少ないものを選ぶことも重要です。研磨剤が多く含まれている歯磨き粉は歯の表面を傷つけ、知覚過敏を悪化させることがあります。パッケージに「低研磨」「知覚過敏用」と記載されているものを選びましょう。
効果的な使い方としては、歯磨き後にすすぎを最小限にとどめるか、軽くすすぐ程度にすることで、有効成分が長く歯に留まり効果を発揮します。ただし、知覚過敏用の歯磨き粉は対症療法であり、根本的な原因を解決するものではないことを理解しておくことが大切です。継続して使用し、それでも症状が改善しない場合は歯科医院での治療を検討しましょう。
歯がしみる症状に効く薬と対処法
歯がしみる症状が気になる場合、自宅でできるケアとして薬局で購入できる市販薬も活用できます。知覚過敏用の歯磨き粉以外にも、塗布タイプの薬や口内炎薬が一時的な痛みの緩和に役立つことがあります。
市販の知覚過敏用塗布薬は、しみる部分に直接塗ることができ、即効性があります。これらの薬には麻酔成分や抗炎症成分が含まれていて、一時的に痛みを抑える効果があります。ただし、長期的な使用には適していないので、応急処置として使用しましょう。
また、食生活の見直しも重要な対処法です。酸性の強い食べ物や飲み物(炭酸飲料、柑橘類、酸っぱいお菓子など)を控え、酸性食品を摂取した後はすぐに水で口をすすぐ習慣をつけると良いでしょう。酸性の飲食物を摂取した直後の歯磨きは避け、30分ほど時間を空けることで、柔らかくなったエナメル質が修復される時間を与えられます。
唾液には歯を修復する作用があるため、唾液の分泌を促すことも有効です。キシリトールガムを噛むことで唾液の分泌が増加し、歯の表面が修復されやすくなります。また、よく噛んで食事をすることも唾液の分泌を促し、お口の健康維持に役立ちます。
これらの対処法を試しても症状が改善しない場合や、症状が重い場合は、歯科医院での専門的な治療を受けることをおすすめします。
歯ぎしりやストレスで歯がしみる場合
歯がしみる原因のひとつに、歯ぎしりや食いしばりがあります。仕事や生活のストレスが歯に影響を与えていることをご存知でしょうか。特に無意識のうちに行われる就寝中の歯ぎしりや、集中しているときの食いしばりは、歯に大きな負担をかけています。ストレスと歯の健康は密接に関係しているため、この関係性を理解し、適切に対処することが大切です。
歯ぎしり・食いしばりと歯のしみる症状の関係
歯ぎしりや食いしばりは、歯に想像以上の強い力をかけています。人が普通に食事をするときにかかる力の数倍もの力が歯にかかることもあるのです。このような強い力が継続的にかかると、歯の表面のエナメル質が少しずつ削れていきます。
歯ぎしりによって削れたエナメル質の下にある象牙質が露出すると、外部からの刺激が歯の内部の神経に伝わりやすくなり、冷たいものや熱いものを口にしたときに歯がしみるようになります。また、歯ぎしりは歯の小さな亀裂の原因にもなり、これも知覚過敏の症状を引き起こす要因となります。
特に注意が必要なのは、歯ぎしりや食いしばりが無意識のうちに行われていることが多いという点です。自分では気づかないうちに歯に負担をかけていることがあります。朝起きたときに顎が疲れている、頭痛がする、歯が少し揺れる感じがするといった症状がある場合は、就寝中の歯ぎしりを疑ってみましょう。歯科医院で相談すれば、適切な対策を提案してもらえます。
ストレスが歯に与える影響
現代社会ではストレスを感じる機会が増えていますが、このストレスが歯の健康に大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。ストレスを感じると、無意識のうちに歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりする傾向が強まります。これにより、歯に過剰な負担がかかり、エナメル質の損傷や顎関節への負担につながります。
ストレスはまた、免疫機能にも影響を与えます。免疫力が低下すると歯周病にかかりやすくなり、歯周病が進行すると歯ぐきが下がって歯の根元が露出します。歯の根元部分にはエナメル質がなく、象牙質が直接露出しているため、知覚過敏の症状が現れやすくなるのです。
さらに、ストレスを感じると唾液の分泌量が減少することもあります。唾液には口内を洗浄し、歯を再石灰化する作用があるため、唾液が減ると歯が酸に対して弱くなり、知覚過敏のリスクが高まります。
ストレスそのものを完全になくすことは難しいかもしれませんが、ストレス管理の方法を身につけることで、歯への影響を最小限に抑えることができます。リラクゼーション技術を学んだり、適度な運動を取り入れたり、十分な睡眠をとることなども大切です。
ストレスが歯に与える影響
現代社会ではストレスを感じる機会が増えていますが、このストレスが歯の健康に大きな影響を与えていることをご存知でしょうか。ストレスを感じると、無意識のうちに歯を食いしばったり、歯ぎしりをしたりする傾向が強まります。これにより、歯に過剰な負担がかかり、エナメル質の損傷や顎関節への負担につながります。
ストレスはまた、免疫機能にも影響を与えます。免疫力が低下すると歯周病にかかりやすくなり、歯周病が進行すると歯ぐきが下がって歯の根元が露出します。歯の根元部分にはエナメル質がなく、象牙質が直接露出しているため、知覚過敏の症状が現れやすくなるのです。
さらに、ストレスを感じると唾液の分泌量が減少することもあります。唾液には口内を洗浄し、歯を再石灰化する作用があるため、唾液が減ると歯が酸に対して弱くなり、知覚過敏のリスクが高まります。
ストレスそのものを完全になくすことは難しいかもしれませんが、ストレス管理の方法を身につけることで、歯への影響を最小限に抑えることができます。リラクゼーション技術を学んだり、適度な運動を取り入れたり、十分な睡眠をとることなども大切です。
マウスピースなどの対策方法
歯ぎしりや食いしばりによる歯のしみる症状に対しては、マウスピース(ナイトガード)が効果的な対策となります。マウスピースは歯科医院で個人の歯型に合わせて作製するもので、主に就寝時に装着します。装着することで歯と歯が直接こすれ合うのを防ぎ、歯ぎしりの力を分散させる効果があります。
マウスピースには様々な種類があり、症状や原因に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。ソフトタイプは装着感が良く初めての方に向いていますが、硬めのタイプは耐久性が高く長期使用に適しています。また、上の歯用と下の歯用があり、個人の状態に合わせて選びます。
マウスピース以外にも、日中の食いしばり対策として「あいうべ体操」のような口周りの筋肉をリラックスさせる体操も効果的です。この体操は「あ」「い」「う」「べ」の口の形を大きく作ることで、顎の筋肉の緊張をほぐす効果があります。
また、リラクゼーションテクニックの習得も有効です。深呼吸や瞑想など、ストレスを軽減する方法を日常に取り入れることで、無意識の歯ぎしりや食いしばりを減らすことができます。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控える、カフェインの摂取を減らすなど、良質な睡眠につながる生活習慣の見直しも大切です。
これらの対策を組み合わせることで、歯ぎしりや食いしばりによる歯のしみる症状を改善し、歯の健康を守ることができます。症状が気になる場合は、まずは歯科医院で相談してみましょう。
歯がしみる時に必要な治療
自宅でのケアだけでは改善しない場合や、症状が強い場合は歯科医院での治療が必要になります。知覚過敏の症状には様々な段階があり、症状の程度や原因によって適切な治療法が異なります。ここでは、歯科医院で行われる知覚過敏の治療法について、症状別に詳しく説明します。適切な治療を受けることで、歯のしみる不快な症状から解放されましょう。
知覚過敏の治療方法
知覚過敏の治療は症状の程度によって異なります。軽度の場合は、歯科医院での専門的なフッ素塗布が効果的です。フッ素には歯の表面を強化し、象牙細管をふさぐ効果があります。診療室で行う専用のフッ素塗布は市販の歯磨き粉よりも高濃度で、より効果的に知覚過敏を緩和します。
中程度の知覚過敏には、歯科医院で行う知覚過敏抑制剤の塗布が有効です。この塗布剤は象牙細管を物理的にふさぎ、外部からの刺激が神経に伝わるのを防ぎます。歯科医師によるコーティング処置は即効性があり、その場で症状が緩和することが多いのが特徴です。ただし、効果は数か月で薄れていくため、定期的な処置が必要になることもあります。
さらに進行した知覚過敏の場合は、レジン(歯科用プラスチック)による充填治療を行うことがあります。露出した象牙質の部分を歯と同じ色のレジンで覆うことで、外部からの刺激を完全に遮断します。この方法は長期的な効果が期待できますが、レジンが経年劣化することもあるため、状態に応じたメンテナンスが必要です。
どの治療法が最適かは個人の症状や原因によって異なるため、歯科医師と相談しながら決めていくことが大切です。また、根本的な原因(歯ぎしりや不適切な歯磨き方法など)に対する対策も同時に行うことで、より効果的に症状を改善することができます。
虫歯による痛みの治療
歯がしみる原因が虫歯である場合は、知覚過敏とは異なる治療が必要です。虫歯の治療は、進行度によって方法が変わってきます。初期の虫歯であれば、虫歯部分を削って詰め物をする「充填処置」で対応できることが多いです。
虫歯が進行して歯の神経(歯髄)に近づいている場合、治療後に一時的に知覚過敏のような症状が現れることがあります。これは神経が刺激に敏感になっているためで、通常は2~3週間程度で落ち着きます。しかし症状が改善しない場合は、再度歯科医院を受診する必要があります。
虫歯がさらに進行して神経まで達している場合は、「根管治療」という方法で治療します。これは歯の神経を取り除き、根管内を無菌化して薬剤を詰める治療法です。神経を取り除くため痛みの原因そのものがなくなりますが、根管治療後の歯は神経がないため脆くなりやすく、被せ物(クラウン)で保護することが一般的です。
虫歯と知覚過敏は症状が似ていることがあるため、自己判断せずに歯科医師による適切な診断を受けることが重要です。レントゲン検査や専門的な検査によって正確な原因を特定し、最適な治療を行うことで、歯の健康を取り戻すことができます。
歯の神経に問題がある場合の治療
歯がしみる症状が続き、強い痛みを伴う場合は、歯の神経(歯髄)に問題が生じている可能性があります。通常の知覚過敏とは異なり、神経に炎症が起きている場合は「歯髄炎」と呼ばれる状態です。この場合、冷たいものだけでなく熱いものでも痛みが生じたり、何もしていなくてもズキズキと痛むこともあります。
軽度の歯髄炎であれば、原因となる刺激を取り除き経過観察をすることで神経を温存できる可能性があります。歯科医師による適切な処置と、自宅でのケアを組み合わせることで症状が改善することもあります。
しかし症状が重度で、持続的な痛みがある場合や、夜間の痛みで睡眠が妨げられるような場合は、根管治療(神経を除去する治療)が必要になることがあります。根管治療では、歯の神経や血管を含む歯髄組織を取り除き、根管内を消毒して細菌を除去します。その後、根管充填材という特殊な材料で根管を密閉します。
神経を取り除くと聞くと不安に感じるかもしれませんが、これにより痛みの原因そのものを取り除くことができ、歯の機能を保全することができます。根管治療は複数回の通院が必要なことが多いですが、痛みから解放されるための重要な治療です。
神経に問題があると疑われる場合は、自己判断で放置せず、早めに歯科医院を受診することが大切です。早期の適切な治療により、より保存的な方法で対応できる可能性が高まります。
歯がしみるのを予防する方法
歯がしみる症状に悩まされないためには、日頃からの予防が大切です。知覚過敏や虫歯による痛みを防ぐためには、正しい口腔ケアの知識と習慣が欠かせません。ここでは、歯がしみるのを予防するための効果的な方法について解説します。毎日のケアを見直し、健康な歯を維持するための対策を始めましょう。
正しい歯磨き方法
歯がしみるのを予防するためには、正しい歯磨き方法を身につけることが非常に重要です。多くの人が思っている以上に強い力で歯を磨いていることがありますが、これはエナメル質を傷つける原因になります。適切な力加減は、歯ブラシの毛先が少し曲がる程度です。力を入れすぎず、やさしく丁寧に磨くことを心がけましょう。
歯ブラシの選び方も大切です。硬すぎる歯ブラシはエナメル質や歯ぐきを傷つける恐れがあるため、毛先が柔らかい歯ブラシを選ぶことをおすすめします。また、歯ブラシの毛先が開いてきたら交換のサインです。通常は1~2ヶ月を目安に交換しましょう。
磨き方については、歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを45度の角度で当て、小さく円を描くように、または前後に小刻みに動かして磨きます。すべての歯の表面を磨くことを意識し、特に奥歯の裏側や前歯の裏側も丁寧に磨くことが大切です。
磨く時間は最低2分以上を目安にしましょう。急いで磨くと力が入りやすく、磨き残しも生じやすくなります。朝晩の2回、時間に余裕を持って丁寧に磨く習慣をつけることが、歯の健康を守るための基本です。歯科医院での定期的なクリーニングと合わせて、正しい歯磨き方法を実践することで、知覚過敏を予防することができます。
歯のエナメル質を守る食習慣
歯がしみるのを予防するには、日々の食習慣も重要です。エナメル質は酸によって溶けやすくなるため、酸性度の高い食べ物や飲み物の摂り方に注意する必要があります。特に炭酸飲料、スポーツドリンク、柑橘類のジュース、ワインなどは酸性が強いため、長時間かけて少しずつ飲むことは避けましょう。飲む場合は一気に飲み、その後は水を飲んで口内を中和させることがおすすめです。
酸性食品を摂取した直後は、エナメル質が一時的に柔らかくなっています。そのため、食後すぐに歯を磨くのではなく、30分程度時間を空けてから磨くようにしましょう。これによりエナメル質が再石灰化する時間を確保できます。
エナメル質を強化する食品を積極的に摂ることも有効です。カルシウムやリンを多く含む乳製品(チーズ、ヨーグルトなど)や、緑黄色野菜は歯の健康に役立ちます。また、キシリトールを含むガムを噛むことで唾液の分泌が促され、口内が中和されるとともに再石灰化が促進されます。
食事の最後に水またはお茶を飲んで口をすすぐ習慣も、歯のエナメル質を守るのに役立ちます。食べかすや酸を洗い流し、口内環境を整えることができます。バランスの良い食事と適切な飲食習慣を心がけることで、歯のエナメル質を守り、知覚過敏を予防することができるでしょう。
予防に効果的なホームケア
日常のホームケアを充実させることで、歯がしみるのを効果的に予防できます。歯磨き以外にも、様々な方法で歯の健康を守ることができます。まず、フッ素配合の歯磨き剤を使用することがおすすめです。フッ素はエナメル質を強化し、再石灰化を促進する効果があります。毎日のフッ素ケアで、歯を酸から守り、知覚過敏を予防しましょう。
デンタルフロスや歯間ブラシの使用も重要です。歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間の汚れを除去することで、虫歯や歯周病を予防できます。デンタルフロスは一日一回、できれば就寝前に使用するのが理想的です。最初は難しく感じるかもしれませんが、継続することで習慣化できます。
また、洗口液(マウスウォッシュ)の使用も効果的です。フッ素配合の洗口液は、歯磨きでは届きにくい部分にもフッ素を行き渡らせることができます。ただし、アルコール成分が含まれているものは口内を乾燥させる可能性があるため、使用頻度や種類に注意しましょう。
歯ぎしりや食いしばりがある方は、就寝時にマウスピースを装着することも有効な予防法です。歯科医院で自分の歯に合わせて作製したマウスピースを使用することで、歯への過度な負担を軽減できます。また、日中の食いしばりに気づいたら、意識的に顎の力を抜くよう心がけましょう。
これらのホームケアに加えて、定期的な歯科検診も欠かせません。半年に一度の検診で早期発見・早期治療を心がけることで、知覚過敏や虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。予防のためのホームケアと定期検診を組み合わせることで、健康な歯を長く保つことができるでしょう。
よくある質問
歯がしみる症状について、多くの方が疑問を抱えています。以下によくある質問とその回答をまとめました。
歯がしみるのは虫歯ですか?
歯がしみる症状は必ずしも虫歯が原因ではありません。知覚過敏と虫歯の主な違いは以下の通りです。
知覚過敏は刺激を受けたときだけ一時的に痛み(10秒以内に治まる)、虫歯は痛みが持続し時間とともに強くなります。見た目では、虫歯は黒や茶色の変色があることが多いですが、知覚過敏は見た目では判断しづらいことがあります。
不安な場合は自己判断せず、歯科医師の診察を受けましょう。
突然歯がしみる原因は何ですか?
突然歯がしみるようになる主な原因には、歯ぎしりや食いしばりによるエナメル質の損傷、強い力での歯磨きによる摩耗、酸性食品・飲料の過剰摂取によるエナメル質の溶解、そして歯のヒビなどがあります。
これらは自覚症状がないこともあるため、症状が気になる場合は歯科医院での診察をおすすめします。
冷たい水で歯がしみる場合はどうしたらいいですか?
冷たい水で歯がしみる場合は、まず刺激を避け常温の水を選びましょう。知覚過敏用の歯磨き粉を使用し、柔らかい歯ブラシでやさしく磨くことも大切です。
これらの対策で改善しない場合は、歯科医院での専門的な治療を検討してください。
歯がしみる症状が治るまでの期間は?
症状が治るまでの期間は原因によって異なります。知覚過敏用歯磨き粉の効果は1~2週間で現れ始めることが多いです。歯科医院での治療は即効性があるものもありますが、持続性のために複数回の治療が必要なこともあります。
歯ぎしりが原因の場合は改善に時間がかかり、虫歯治療後の一時的な知覚過敏は通常2~3週間で自然に改善することが多いです。
症状が2週間以上続く場合は再度歯科医院を受診しましょう。
まとめ - 歯がしみる症状を放置せず適切なケアを
歯がしみる症状は日常生活で不快なだけでなく、深刻な問題のサインかもしれません。主な原因はエナメル質の損傷や歯ぐきの後退による象牙質の露出です。
対策としては適切な歯磨き方法の実践、知覚過敏用歯磨き粉の使用、酸性食品の摂取制限が効果的です。症状が続く場合は歯科医院での専門的な治療を検討しましょう。
重要なのは症状を放置しないこと。早期発見・早期治療が症状の改善につながります。定期的な歯科検診を受け、気になる症状があれば早めに歯科医師に相談することをおすすめします。