歯列矯正前に親知らずは抜く?抜かない?矯正前後の抜歯タイミングや費用、埋まっている場合等を解説
これから矯正治療を検討している方、矯正治療中という方は「親知らずがあるけどこのままでいいのか?」「矯正治療中に生えてきたら抜歯しなくてはだめなのか?」など様々な疑問や不安があるのではないでしょうか?
できれば残したい、将来の歯並びが心配なので抜歯したい、など様々な意見や考えがありますよね。
この記事では、矯正治療と親知らずについての関係性や生えていること、抜く事での影響について説明します。
歯列矯正を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
親知らずってどんな歯?
「親知らず」は、20歳前後で生えてくるケースが多く、正式には「第3大臼歯(だいきゅうし)」といいます。
一番奥(中心の前歯から8番目)に生える歯で、もっとも多くて4本あります。
必ず4本あって生えてくる訳ではなく、人によっては1本もないということもあります。
他の歯のようにまっすぐに生えてくるとは限らない歯です。
親知らずは、トラブルが起こりやすい歯
親知らずは、7番目の歯の横にまっすぐ生えることが少なく、横向きや斜めに生えてきてしまうケースがあります。
まっすぐ生えないことにより、歯磨きがしづらく、虫歯や歯周病になってしまったり、生えてくる際に歯ぐきが炎症を起こしてしまったりすることがあり、トラブルが起こりやすい歯と言われています。
埋まったままの場合もある
親知らずには、骨の中に埋まったまま生えてこないというケースもあります。
この場合には、他の歯・歯並び・歯ぐきに問題が無ければそのまま抜かずにそのままにしておく事もあります。
しかし、いつか出てくるかもしれないので、歯ぐきに異変があったりする場合には担当医に診てもらうようにしましょう。
矯正中に親知らずが生えてきたら抜く必要がある?
矯正をするからと言って必ず親知らずを抜かなくてはいけない訳ではありません。
抜歯が不要な場合・抜歯が必要な場合、それぞれどのようケースがあるのかご説明します。
親知らずを抜かなくても矯正はできる
矯正治療では基本的には親知らずは対象外なので、親知らずがあるからと言って必ず抜かないと治療ができないという訳ではありません。
治療に影響しない生え方をしている場合には残したり、まっすぐ生えていて、歯としての機能を果たしている場合には、親知らずも矯正治療で一緒に並べることもあります。
矯正中に親知らずを抜歯する必要がある場合
親知らずが矯正治療の妨げになってしまう場合や他の歯やお口の中に悪影響を及ぼす可能性がある場合があります。
そういった場合には、矯正治療中や矯正治療開始前に親知らずを抜歯します。
どのようなケースの場合に親知らずの抜歯になるのかをご紹介します。
隣の歯を押してしまって、悪影響がある場合
親知らずが、隣の歯を押してしまい歯並びが悪くなっている場合には、矯正治療を開始する前に抜歯をすることもあります。
こういった場合に抜かずに矯正治療をしても、歯を押してしまう力がかかり続けてしまうことになるので、矯正装置を外したあとに再度歯並びが悪くなってしまう可能性があるために、親知らずを抜くことになります。
歯を並べるスペースを確保したい場合
歯が生えてくるスペースが狭く、歯並びがガタガタになってなってしまっている場合には、
親知らずを抜いて歯がきれいに並ぶためのスペースを確保します。
親知らずを抜いてできたすき間に歯を引っ張って歯並びを整えます。
親知らずが虫歯や歯肉炎の原因になっている場合
親知らずは一番奥に生えていて、斜めや横に生えていることがあるので、歯磨きがしづらく虫歯や周囲が歯周病になるリスクが高いです。
親知らずがあることにより、汚れが溜まり、隣の歯(7番目の歯)が虫歯や歯周病になってしまう可能性もあるので、親知らずは、むし歯や歯周病になっていると抜くことになるケースが多くなっています。
親知らずを抜くメリット
矯正治療をしているから、これからするからと言って必ず親知らずを抜歯しなければならないわけではないとお伝えしましたが、抜歯をした方が口腔内にとって良い場合もあります。
ここでは、親知らずを抜くことのメリットをご紹介します。
歯を移動するスペースを作る
歯が並ぶためのスペースが足りずに歯並びが悪くなってしまっているというケースもあります。
その場合に、親知らずを抜いてスペースを作り、理想的な歯並びにしていきます。
虫歯予防
親知らずが虫歯になりやすい原因は、清掃不良を起こしやすい場所に生えている、横向きや斜めに生えていることが多いからです。
歯磨きを丁寧にしていても奥側までしっかり届いていないことや隣の歯との段差が大きい事が原因で、歯ブラシが当たらないことがあります。
そのため非常に虫歯になりやすいです。
汚れが溜まると隣あっている歯も虫歯になるリスクが高まるので、抜歯をすることによって、7番目の歯の健康を守ることにも繋がります。
歯周病、口臭予防
虫歯のリスクが高いことと全く同じ理由で歯周病のリスクが高くなっています。
歯周病は歯ではなく歯を支えている歯ぐき、骨の病気です。
汚れが溜まって、多くの細菌が発生し、歯ぐきに炎症を起こし、歯を支えている骨を溶かしてしまうことが歯周病です。
歯周病は歯ぐきが腫れたり、出血があったり、膿が出たりという症状が出てきます。
歯周病になると口臭も出てきてしまいます。
親知らずを抜くことで歯磨きがしやすく、清潔な口腔内を保ちやすくなることによって歯周病を防ぐ事に繋がります。
親知らずの抜歯はデメリットもある
抜く前にしっかりデメリットも把握し、納得した上で矯正治療・抜歯の処置を受けましょう。
ここでは、抜くことで考えられるデメリットをご紹介します。
抜歯後に痛みや腫れがある
親知らずを抜く際の処置の内容によっても個人差はありますが、抜歯後に痛み・腫れが完全に引くには7~10日ほどかかる事が多いです。
特に痛みが出やすいのは抜いた後、麻酔が切れたときになります。
痛みのピークは麻酔が切れた直後~2日程度の場合が多いので、痛み止めのお薬をきちんと指示通りに服用しましょう。
腫れのピークは3~4日後となっています。
痛み止めが効かないほどの痛みや時間が経ってから痛みが激しくなる場合は「ドライソケット」と呼ばれる、抜歯後に細菌感染している可能性も考えられます。そういった場合には早めに担当医に相談してください。
移植やブリッジに利用できなくなる
稀なケースですが、親知らずの状態次第では、他の歯を抜いた場合に移植やブリッジの支えの歯にすることができます。
残すのか、抜くのかはしっかりと担当の歯科医師と相談して納得した治療を受けましょう。
神経を傷つけてしまう可能性がある
下あごの親知らずが埋まっている骨(支えている骨)には、神経が通っていて、処置の際に神経を傷つけてしまうと、唇や頬にしびれや麻痺が残る「下歯槽神経麻痺(かしそうしんけいまひ)」を起こしてしまうことがあります。
親知らずを抜歯するタイミングは矯正前?矯正後?
抜歯のタイミングは矯正治療の前になるケースが多いようです。
矯正治療には数年かかることが多く、問題がある場合にはその問題を早い段階でクリアするべきという考えがあったり、矯正治療を行う上で支障が出てしまうことが考えられるからです。
しかし、担当医の判断や治療方針、治療計画によって治療中に抜歯することもあるので気になる場合には担当医に相談しましょう。
親知らずの抜歯は保険適用?費用は?
親知らずの抜歯に限らず、矯正治療にかかる費用は自己負担になります。
しかし、親知らずに虫歯などがある場合には保険が適用できる場合もあります。
また、矯正の担当医ではなく、抜歯は他の歯科医師(歯科医院)に依頼するケースもあるので、どのような処置内容になるのか、費用はどうなるのかは事前にしっかりと確認しましょう。
親知らず抜歯の必要性は人それぞれ、まずは医師に相談しよう
矯正治療をするからといって、親知らずの抜歯が必要なわけではありません。
抜くのか、残すのか、どのタイミングになるのかは担当医にきちんと聞き、納得の行く治療を受けられるようにしましょう。
少しでも不安がある場合にはセカンドオピニオンで、いくつかの矯正歯科医に診てもらう事をおすすめします。
監修者プロフィール
立会川歯科・矯正歯科 院長 南 伸也
- 2004年
- 昭和大学卒業
- 2004年
- 一般開業歯科医院 勤務
- 2011年
- みなみ歯科・矯正歯科 開設
- 2016年
- 立会川歯科・矯正歯科 開設
- 所属学会
- 日本口腔インプラント学会 所属
日本口腔インプラント学会JSOI 専修医 - 公式HP
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